問題点5 「外国人に対する武術指南」 我は基本的には外国人の門人は採らないという方針であり、何十年か少なくとも今までそれを貫いてきた。それなりの武術家同士の稽古交流の中で僅かながら仮初めに指導した事がないとは言わないが、何回か請われたが門人として採った事はないのである。 これは我のポリシーであり、他の武道家に押しつけようとは勿論思っていない。 特に古流武術系は流儀存亡の問題があり、余りにも劣化した現代の日本人にいくら教えようとしてもちゃんと継承できるはずもなく、外国の地にでも保存して置かねば本当に地上から消えてしまう事は確実である。その様な立場から外国人への指導をなされている古流武術家もかなりおられるのであり、これは正直な所仕方のない事かと思われる。 この事は甲州の小佐野淳先生が『水月』で論じておられた。 「本音と建前があり、横文字の名の門人に流儀を継承して欲しくはないが、継承する日本人がいないのだから何とも致し方ない」仰る通り。 「日本人の場合、武術に興味のないものが武術をやっているという不思議な現象が見受けられる」その通りであり、本当に不思議である。剣道や居合を学びながら、驚いた事に日本刀に興味がないものまでいるのである! 「日本人に武術愛好者が少なく、武才のあるものは至って少ない」全く仰る通り。
一時中国武術が日本で流行した事があったが、今ではかなり下火である。今の日本人には本格的な武術をやる気力は既に消滅しているように思われる。これからの若い日本人に古流武術を継承させる事は到底無理である。その様な若人を作って来たのは戦後のはやり日本人であるのだから何とも仕方がない。
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