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 古傳十二大秘劍解説 

かなり昔に『秘伝』に掲載した論文。

大分時間がたったので内容のテキストのみは公開しても良いだろう。ただ図版類は省略する。

内容は以下の通りである。

 

 

時代劇画の最高峰
鬼才、平田弘史の世界
魔像時代の平田劇画−−我が私論
魔像時代
時は昭和の三十年代−−日本漫画文化史の中で魔像時代とでも称すべき真に特異な時代が存在した。それは日本の漫画文化黎明初期における一形態であるが確かに少し特殊な時期であったと言えるだろう。先ずはその実態について若干の解説をなしておこう。
『魔像』とは大阪の日の丸文庫と言う出版社が貸本屋向けに発行していた漫画雑誌名であり、内容的には殆ど時代劇画が中心であった。少し年配の方であるなら今の若者が貸しビデオ屋に通う如く貸本屋に通い、それらの作品群に触れ、それなりに熱中されていた方も多いのではないかと思うのである(この魔像系を置いた貸本屋自体は筆者の記憶によると三十年代から五十年代初頭頃位まで存在したのではなかろうか?)
そしてその『魔像』に作品を掲載していた多くの時代劇画作家の中で独り天才の名を欲しいままにしていた真に超絶的な時代劇画作家がいた。
言うまでもなく平田弘史その人である。
時代劇画、特に武士道劇画を描かせては右に出るものはいない天才中の天才−−。二番手、三番手とは余りには距離が開きすぎ、正に中空に独輝する存在であったと言えるだろう。
貸本屋時代という特殊な時代と文化風俗を背景に、真に驚くべき超時代劇画群を産み残した鬼才、平田弘史の世界を紹介して行こう。

隠れファン
平田弘史と聞いても一般にはそれほどメジャーな漫画家とは捉えられておらず、むしろ知らない方のほうが多いかも知れない。特に魔像時代に描かれた驚異の作品群の実像を把握している方は殆どいないに等しい。
しかし現在活躍する大漫画家たちの多くにとっては魔像時代の平田弘史と言えば正しく神様の様な存在であった。また分野の違う文化人の中にも結構隠れ平田弘史ファンが多い事も事実であり、例えば三島由紀夫が熱烈なファンであった事は良く知られている。
そして平田弘史は劇画黎明期に現れて彗星の如く消え去った一過性の作家でも決してないのである。

作品
平田弘史氏は昭和十二年二月九日生まれ、二十一歳でデビューし、時代劇画を絶えることなく描きつづけてきた現役の作家である。寡作の作家と捉えられる向きもあるが、既に数百点の作品群を残しており、全作品像はそれなりに巨大である。
しかしながら長い作家活動の中で各時代に残した作品が全て素晴らしいと言う風には筆者も紹介しようとは思わない。勿論文化的な作品の優劣判定や好嫌の思いは所詮主観的な感情でなすしかなく、それはそれで良いのではないかと思う。本稿は筆者は筆者なりの感性にてある時期における平田作品の素晴らしさを紹介して見たいと思うのである。

至高の精神文化
筆者自身は膨大な平田作品の中で魔像時代の作品のみが好きなのであってそれ以降の作品は全く好きではなく、殆ど読んでもいない。またその魔像時代の作品が全て傑作であるとも言わない。時代的な問題は勿論あるが、今日的な審美眼に耐えられない稚拙な作品も多々あることも事実である。そしてかなり多く描かれた剣豪劇画系の作品も極一部を除いて筆者自身は殆ど興味がない。
しかしながら当時描かれた作品の中で、特に武士道劇画系の作品を代表とする何作かは真に驚異の作品群であり、それは過去現在未来を通じ、日本の劇画作家が産み残した至高の精神文化の結晶の一つとして世界の何処に出しても恥ずかしくない完成された名作群なのである。

べスト8
平田弘史は真に不思議な作家である。下積みの修行時代が殆どなく、初作品がデビュー作となり、一年ほどの実践修行によって既に他の作家を決して寄せつけぬ独特のリアルな時代劇タッチを完成してしまった。当時の他の作家の作品がやはり単なる漫画であった時代に、独り「漫画はやはり漫画」として一括りにして扱えないほどの激しくも見事なリアルタッチにてかつての武士たちの深い精神世界を表現し、正に「劇画」と称するに相応しい新たな世界を切り開いて行った独創的天才作家なのである。
その意味も含めて正に無師独覚の天才であると言えるだろう。
実際の所、誰の師につくことなく、時代考証学的な勉強は天理大学の図書館にて独学したと言う。その研究は現在の大学生連など足元にも及ばない大変に深いものがある。ただし残念ながら古流武術関係の実伝研究は殆ど成されていないためか、かなりの数描かれた剣豪系劇画の中には見るべきものは余り残っていない(もっともこれは筆者における古流武術家の端くれの立場としての感性であり、一般の方には十二分に楽しめる作品も多いのではないかと思う)。
ただ武士道劇画と言う分野では最高の精神ステージの作品群を残しており、筆者が最も評価する部分である。魔像時代の平田劇画には八十一作ほどの作品があるが、武士道もの、剣豪もの、少年もの、歴史もの、その他を含めてその中から本当の名作と言えるものを数点、筆者の独善と思い込みにて挙げてみよう。発表された年代と頁数は括弧の中に記載。記載順序も年代順とした。

@意地と情けの戦国一番槍〔1960・53頁〕
A復讐つんではくずし〔1961・160頁〕
Bムスケット銃伝来〔1961・60頁〕
C大いなる勝負〔1962・100頁〕
D茶筅髪禁止令〔1963・70頁〕
E孤影〔1963・132頁〕
F僕のおじさん〔1963・60頁〕
G侍〔1964・127頁〕
(後、魔像時代以降の作品も範疇に入れるならば、後一作、「それがし乞食にあらず」〔1970・24頁〕が付加出来るだろう)

以上の作品は平田師以外には決して描きえぬ絶対的な超名作群なのである。平田師はこれらの名作を二十三〜二十七歳位までの間に書き上げており、その早熟の天才ぶりには驚かされる。

武士道
平田師が独特のリアルタッチで現出した壮絶なる武士道の世界、勿論それは冥く深く、もの悲しくも真に無残な世界が多いがまたそればかりではない。少なくとも魔像時代の平田師が描く所の武士道の世界には単に峻厳な部分ばかりではなく血の通った人間としての温かみが保有されていた事は事実である。
その意味では平田作品における武士道とは封建武士社会と言う特殊な世界でのみ育まれた価値観では決してなく、それはやはりどの時代にも通脈するべき人の道の一端である事を教えてくれている。

作品解題
ともあれベスト8に上げた作品を少し解説しておこう。

@「意地と情けの戦国一番槍」
この作品はデビュー作より二歳を経て発表された中々の傑作短編である。織田信長を討ち取った安田作兵衛という戦国豪傑における浪人から仕官したおりの人情逸話を描いた秀作。
年代的に見て行くと、既にこの時期において他の作家の追従を許さぬ独特のリアルタッチを完成させている事が分かる。作題の通り武士としての意地と情けの交差が見事に描かれており平田武士道劇画の原点をみる思いがある。

A「復讐くんではくずし」
副題に「長編読切スペクタクル版」と銘打って描かれた衝撃の時代劇画。戦国期における悲惨な戦争の狭間で繰り広げれた壮大な復讐劇、その残酷性、恐怖をリアルに描いている。
剣豪系でも、また武士道系の作品でもなく、分類が難しい部分があり(恐怖もの?)、また筆者の特に好きな作品と言う訳でもないのであるが、内容は真にショッキングなものがあり、当時の漫画界に衝撃を走らせた大変な作品であることは事実である。平田師の名を不動のものにした力作であり、平田劇画を語る上では避けて通れない驚愕の作品である事は間違いない。

B「ムスケット銃伝来」
1542年、種子島に火縄銃が初めて伝来したおりの話であるが、その鉄砲伝来譚を背景に日本における弓術家と火縄銃とのバトルを描いた大変に優れた歴史系作品である。
歴史的な描写にも価値があるが、見どころはやはり日本の弓術家の意地が爆発する部分であろう。

C「大いなる勝負」
これも黒船伝来から生麦事件、薩英戦争などを経て開国に至る幕末の激動の時代を題材にした歴史系作品であるが、歴史的描写を背景にかくした激動の時代、日本の将来を憂い憤る薩摩の二人の若侍の壮大なる約束事の勝負を描いたものである。歴史長編としても勿論傑作であり、映画化しても良いほどの名作であると思う。

D「茶筅髪禁止令」
寛永年間に武士弱体化政策の一端として幕府から出された茶筅髪禁止令に対する佐竹藩の骨のある侍たちの生命をかけた反抗と意地の世界を描いた珠玉の名作短編である。
平田劇画の武士道ものの傑作として名高い名作であるが、実を言えば前年度(昭和三十七年)に公開された時代劇映画の最高峰、『切腹』をみた平田師は無茶苦茶に感動したと言われ、以降の作品に色濃く『切腹』の影が潜む様になっており、平田武士道劇画が『切腹』の影響下にまた一つの高まりをみていると言えるのである。この作品の各所にも『切腹』の感動シーンが見え隠れしているのが興味深い。

E「孤影」
一人の剣豪の苦悩を描いた作品で剣の虚しさ、勝負の悲哀を描き、しかしながらそれを超えた精神世界まで描いている大変な名作である。
言わば剣豪系作品とも言えるが単なる剣技を題材にした浅薄なものでは決してなく奥にある深い精神性を抽出した傑作であり、筆者も最も好きな作品の一つである。

F「僕のおじさん」
浪人の一人息子を主人公に当時の貧乏浪人の姿と、貧乏を超えても守るべき人の道と言うものを少年の叔父さんの来訪を通じて描いた作品。
言わば少年ものとも言える当時の平田作品の一分野の作品であり、それほどショッキングな場面がある訳ではないが平田劇画の人情節が見事に現れた優れた傑作短編であると評価したいと思う。

G「侍」
忠義の為に偽り、死んでゆく侍たち、またそれを別の次元で見守る侍たちの精神劇である。
平田武士道劇画中の最高の名作とうたわれた傑作長編であり、この作品にも名作映画『切腹』の影響が色濃く窺える。

以上平田作品のベスト8(筆者撰)の些かの解説を試みた。優れた作品の前には下手な効能書きなど言わずもがな。とにかく読んで頂ければ平田劇画の素晴らしさにびっくり仰天して頂けるのではないかと思うのである。筆者の拙文がその驚愕の世界に踏み入る為の少しばかりの道標になれば幸甚である。

日の丸文庫『魔像別冊単行本』完全復刻版〔全五巻〕
「平田弘史劇画創成期傑作選」について
本稿にて鬼才、平田師の魔像時代の優れた作品群を挙げてみたわけであるが、これらは皆昭和三十年代の雑誌掲載の作品であり、現在においては殆ど入手は不可能に近いであろう。一般的な入手ルートが存在しない状況下において、かつての作品が傑作であり、是非見てみろと言うのはイヤミ以外の何者でもなく故にこそ筆者もこれまで平田作品の紹介は殆どなしてこなかったのである。ところが、今回株式会社サリュート出版局から魔像時代の作品の一部が完全復刻される事となり、また残りの作品も暫定的に復刻の計画が進められている事を知り筆者もその紹介の拙文を綴る事としたのである。
魔像時代の作品は既に原稿が失われており、再出版は絶望的と言われていたのであるが、パソコンの画像処理能力の驚異的な発達により原本からの再生が可能となったものである。今回は魔像作品の中の力作長編、『四十万石の執念』『復讐つんではくずし』『我が剣の握れる迄』『刀匠』『侍』の五巻が先ず復刻された。復刻されたものを見てみると筆者が秘蔵している当時の原本と表紙から見返り紙、奥書き部分、内部のカラー頁までそっくりに復元されており、その丁寧な仕事と高度な技術に驚嘆した次第である。しかしも単なる複製ではなく吹き出し文字は新たに打ち直しており、些かの崩れや読み辛い部分はない。イラストの崩れも平田師自身が補修されており面目を一新した真に綺麗な復刻本となっている。
これからも残りの復刻本事業は勿論、魔像時代作品、全八十一点六千頁をデジタル化し、CD−ROMにて提供する計画なども進んでいるのである。しかしこれは技術的な問題点が多々あり、今の所予定は未定であるそうである。この様な優れた精神文化の結晶が朽ちる事なく、何時までも読み継がれるように筆者も微力を尽くして復刻事業に声援を贈りたいと思い、また出来る手助けがあれば協力を惜しまないつもりであるのである。
●今回の復刻本のお問い合わせ、注文などは同社になして下さい。
サリュート出版局
〒150−0022 東京都渋谷区恵比寿南2−18−6
рO3−3710−8430 FAX03−3710−8450
●日の丸文庫『魔像別冊単行本』完全復刻版〔全五巻〕(分売不可)
本体価格二万五千円

@意地と情けの戦国一番槍
豪傑浪人、安田作兵衛は戦場での一番槍を条件に柳川、立花家に千石にて仕官する。だがそれを阻止せんとする藩の老骨槍遣い。勝負の帰趨はいずれに?

A復讐つんではくずし
戦国時代の闘争の壮大さを見事なリアルタッチで描いた、正に大スペクタクル劇画である。また復讐の壮絶な残酷描写は当時の漫画界に衝撃を走らせた。

Bムスケット銃伝来
伝来した南蛮銃、日本鍛冶は複製しようと努力するが、どうしても筒底栓の構造が分からない。致し方なく鍛冶師は愛娘を南蛮人に貢ぎ物として差し出した。

C大いなる勝負
幕末、黒船伝来より幾多の動乱の果てに遂に薩摩と英国との戦争が興る。だが勇猛果敢な薩摩武士も英国の新式銃砲の前に大打撃を被る。

D茶筅髪禁止令
幕府から茶筅髪が禁止され全ての武士が髷に直すが、極一部の武士は戦国武士の誇りである茶筅髪を命をかけてでも護らんとする。そして一人の武士は従容として割腹して死んでいった……。

E孤影
大勢の剣客を斬ってきた最強の剣豪、それはまた大勢の仇を持つ身でもある。しかしどんな強い剣士でも不意打ちにて呆気なく斬られる事もある。だが本当に強い侍とは人を大根のように叩き斬る武士の事では決してない……。

F僕のおじさん
豪傑侍も浪人すれば赤貧洗うが如し。武と文が幾ら秀でてもそれだけでは浮かび上がれないのは江戸期も現在も同じこと。しかしその様な世の中でも護るべき人の道がある……。

G侍
戦国期に侍が命懸けで戦うのは主君の為こそである。しかし忠義の道は戦場ばかりにあるのではない。忠義の為に偽り、恥辱に耐える武士もある。

うどん
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古流柔術
大東流
天然理心流1
秘武器
剣王会
琉球拳法
和義
二刀流
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