●解説14「斬首刑について」 野田氏、向井氏の両氏が捕虜斬首処刑をなしていたかどうかは微妙で、現時点では何とも判定が難しい。 少し気になるのは両氏は遺書では「俘虜市民を殺害していない」「捕虜非戦闘員を虐殺していない」という様な事を書かれており、これを逆にみると「中国軍捕虜は殺した」もしくは「処刑はしたが、即殺したのであって、虐殺ではない」という読み方が出来ないわけではない。 南京問題の研究では少なくとも捕虜(国際法上の捕虜とは言えないという論もある。そうかも知れないが、他に言葉がないので取り敢えず「捕虜」の言葉を用いる)をある程度多数殺害した事は事実とされており、となると両人がそれに関わった可能性はないとは言えないかも知れない。ただ日本刀で斬首した例もあるかどうかは分からない。 総ての事は断言は出来ず、多少の後世の伝聞証拠もあるようではあるが、しかし余りにも時間がたちすぎており、仮令証人の証言があるとしても現時点では曖昧にならざるえず、正否どちらにしても証拠能力に乏しいように思われる。
●「斬首の問題」 捕虜殺害は多く銃砲、機関銃などを以てなされたと言われるが、日本刀の斬首の例も実際にあったように我には感じられる(確実証拠はなく断言としない)。 そして日本兵が正に斬首している写真なども実際何枚かある様である。小林本その他(水島本、東中野本等)ではそれを偽写真と断じているが、しかしその根拠は非常に曖昧であるように思われる。特に決定的な「否」の証拠がない以上、「捕虜殺害」の事実があり、斬首の為の日本刀がある以上、ある程度の(どの程度行われたかは分からない……というより、これが最もこれからこそ研究しなければないならない部分である)斬首が行われた可能性も視野に入れ、もっと慎重に検討すべきである。
●「国際法の問題」 厳密には国際法では処刑する場合でも斬首処刑は認めていなかった様に思う。我もこの辺の専門家ではないので確言は出来ないが、それに対してまた慣習上、また他国におけるスタンダード、暗黙の了解、微妙な法解釈など色々議論がある様である。これはこれからも討議を重ねて真実を追求すればよいのではないかと思う。 ただ、南京における日本軍が、兵隊はともかく、一般市民の虐殺などしてはいないと言う事実は誇ってもよい。いやこれは本来当たり前の事であるが、支邦や米国は逆に一般市民までを多数虐殺してきた国であり、日本軍は決してそうではなかったと言う事なのである。 そしてまた日本人としては斬首処刑はそれほど非人道的な方式ではなく、日本の伝統的な慣習でもある事が認識できればよいだろう。
ただその斬首処刑は必要に応じて成したならばよいが、これを面白半分でやった向きがあるとすると勿論問題であり、この点は少し武術関係における微妙な問題があり、この点は本論争とはまた別の次元での問題として項目を違えて論じたいと思っている。
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