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●問題点10「日本刀の竹釘」 日本刀の造りを現代の技術者に検証させると、目釘が竹製であること、茎が柄の最後まで入っていない事などに疑問を呈する事がある。よって試し斬り専門者に現代刀の設計からやって造らせると茎を延ばし、竹釘を止めて鉄釘となし、また二本目釘で造る事になる。しかしこれは江戸期以前における日本刀の古伝の使い方を知らぬが故である。日本刀は人を簡単に殺傷する為に造られ、何も巻藁を切ったり鉄鎧を切断を事を目的に製作された者ではない。相手がたとい鎧を着ていても巧みに鎧の隙間から重要な動脈を切断して人を一瞬にして殺傷する超絶的な方法を古流剣術は奥傳として伝えてきた。それは一本の刀が痛まぬ様に殆ど衝撃も残さず、そして用いる者も全く力も要しない様な極意技法であり、何百人、何千人を捌いても刃零れしない様な独特の方法である。 この様な技術を基盤している故に目釘は竹製が最高と選ばれた。竹の柔らかさが刀の辺りのなじみを造る。茎の長さも永年の伝統によって制定されたのであり、バランスや柄の余りの部分から受ける柔らかみも重要な切断極意に繋がる技術傳である。 ただ竹目釘の造りにも独特の掟があり、ちゃんとしたもの多少曲がっても復元し、折れるこおはない。鉄目釘は辺りが固く、銅目貫は衝撃で曲がると抜き取る事ができなくなり、最後には柄を壊さざるを得なくなるのである。
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