一ノ劍 「麻幹不有劍」(おがらふゆうけん) ●解説 古い伝統ある祕傳劍法の基であり、その原型的なものは古来から存在せり。さりながら戰國末期に天才二刀剣士宮本武蔵守が現れて其れを超絶的な秘劍法として發展昇華せり。鐵刀大小を同時に振り回すのは大変な労力なり。その重き鐵刀が麻幹の如く、まるで刀有りとも刀無きが如しに軽くなるのである。
二ノ劍 「鞍馬奥山天狗飛斬劍」(くらまおうざんてんぐとびきりのつるぎ) ●解説 日本武藝の太祖、源九郎判官義経が幼少の頃鞍馬奧山にて傳授されし修験行者達の古傳秘法。義経はその行者祕法を屋島の海戰にて八艘飛び秘法として開花せり。古代支那に古傳した軽身功の秘術と通脈せし秘法也。義経兵法を継承した作州二刀剣士宮本武蔵守は巖流小次郎との血闘に際し、巖流の刀返しの薙ぎ払いに対してこの秘法を用いて空中戰をなし一瞬にして巖流の頭骨を撃ち砕けり。秘法を體現すれば一挙に體の重身が三貫目も軽くなる也。古の武芸者たちの武術祕法の基として多くは体得し、正座の状態から一挙に天井にけり飛ばし足跡をつけてる事いと易しとなせり。
三ノ劍 「後眼劍」(うしろめのつるぎ) ●解説 数多の血闘勝負に百戦百勝する豪傑も晦日黒夜の礫を喰らう事あり。背後から襲う拙き未熟劍に一命を失う事あり。是れ全て日本古傳の剣法奥義の一つ「後眼劍」を會得無き故也。それは伝統古式武藝の奧傳秘技として密かに傳承する不可思議劍。背後より音無きに忍び寄る邪曲卑劣の仇ばらの醜姿を音無きに窺い姿無きに悟る魔術神法。即ち敵刃至るまで悠として力みなく、一瞬の背撃邪刃に空を斬らせ敵の死角に入りて間髪入れず即時に卑劣漢を誅殺するものなり。
四ノ劍 魔界轉生鬼盞剣 (まかいてんしょうおにさかづきのつるぎ) ●解説 数多の剣豪と血闘し、それぞれ各強敵を葬った時、一度でも劍を交えたらその強敵の力量と業を自分の業と力として取り込んでしまう祕法也。日本傳剣術の究極奥義の一つ。日本剣術の極めて深いところで継承され、特に戦国期はその秘法を用いて強大になった武将が何人かいた事が確認されり。
五ノ劍 晦日神月目光剣 (みそかしんげつめひかりのつるぎ) ●解説 「目光」傳はその暗殺秘劍に付随する究極の黒魔術也。この祕法を用いれば闇夜にての戰いにて仇には我は見えないが我のみは仇を認識し真に正確に仇の気づかぬまま刺殺する事が可能也。
六ノ劍 無手勝流眞空斬剣 (むてかつりゅうしんくうぎりのつるぎ) ●解説 決闘の場に丸腰で出向き、敵が抜刀して上段に構えた瞬間両腕の動きに合わせて氣合一閃、敵は身體上下処を異にする也。
七ノ劍 神一法劍(しんのいっぽうけん) ●解説 いきりたつ敵に手を翳し、敵が我を抜き打ちせんと刀の柄に手を掛けた瞬間氣合一閃、敵は金縛りにあった如く微動だに出来ず刀を抜くこと絶對不可能也。我は悠然と敵に近づきデコピンをして勝敗が決する。是れ古代の武術名人日本武尊が発明せし秘法也。後代では二階堂主水氏秘法を受け継いで継承す。
八ノ劍 「獅子歯噛劍」(ししのはがみのつるぎ) ●解説 平時に於いて武藝者は時として武術秘法を顕示する必要ある事有り。去りながら太平時においては流血の沙汰是れあるべからず。また刃を構えずして狂敵の激刃を無効化し無血の儘敵を製するのが善き也 その為には古来より密かに傳承した極秘「獅子歯噛之秘劍」を知らざるべからず。有刃狂者がいきりたち凶刃にて襲い來るも我は刀の柄に手もかけずにして無に構え悠然たり。しかして凶刃我が體を斬り裂かんと正に振り下ろされたかと思われた瞬間、敵の體は我から撥ね飛ばされ、地面に叩き落とされる。そして敵が打ち込みし白刃は狂敵の手を離れ我が上下歯間に有り。敵の凶刃に我は歯牙にして對し、敵刀を奪いたる。是れ正に奥義「眞劍白刃獅子歯噛取居合」の秘法也
九ノ劍 「天弑三星劍」(てんさつさんせいけん) ●解説 武藝剣術は己が栄利聞達の為ならず。君前の敵を祓い凶刃を取り除くものなり。主君に対して攻め來る敵間に立ちはだかり両手を広げて主君を守護せんとなす。敵怯まずに撃ち来る瞬間我は●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●白刃一閃たり。しかし瞬間我の白刃は鞘に収まりたりて両手を前に翳す。両手には敵首を落ち来る也。
十ノ劍 「北斗七星劍」(ほくとひちせいけん) ●解説 主君に害する敵を払うに白刃一閃にて誅殺する事あるも、場合によりては取り押さえ黒幕調査の為に尋問する必要ある時あり。かくした時は「北斗七星劍」用いざるべからず。 七星の巡る中心に大星有り、大星を守護をなすために我は七星の初星に宿り、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●地に縛り刀を奪い破軍星之劍に刀を置くものなり。是れ無血にて主君守護をなす究極秘劍法也
十一ノ劍 「飛鳥凋落劍」(あすかちょうらくけん) ●解説 心形刀流の松浦静山が剣術随筆書にて「剣術奥義に鉄砲を破る祕傳があると言う者がいるが、それを信じる者は馬鹿……」と言う様な論を述べているが、日本剣術が永い伝統の中で脳髄を振り絞って矢玉鉄砲に対抗する手段を模索し様々な工夫がなされ、その高度なものが剣術祕傳として各流に現存する事実を知らざるべからず。 「飛鳥凋落劍」は我座敷に坐し、大刀は礼法に従い右に置きたる時、矢庭に敵が出現し我を右端と鉄砲を構えたり、我は右手、左手と変えて大刀を鞘ごと取り、右手で脇差を抜き手構えたり。次の一瞬氣合一閃、敵は鉄砲を発射するも弾道を外し、我は両刀にて敵に斬り込み、敵を誅殺したり。
十二ノ劍 「鶴翼玉龍劍」(かくよくぎょくりゅうけん) ●解説 野外にて鉄砲遣いと対する時、我身の回り萬物を味方となして敵に立ち向かう也。さすれば、敵の発射した弾丸は我の目前にてピタリと止まり、次射の間に斬撃自在也。
終ノ劍 「大葉宿露劍」(たいようしゅくろのつるぎ) ●解説 現代格闘競技は対一勝負オンリーなるが、真の武藝は必ずしもしからず。よって伝統古式武術の多くに流儀に多勢之位の奥義有り。其れは萬劍一戰を一劍萬戰となす秘法にて、殺氣の流れを読み切り各變容に対応する極意なり。 古の名人はそれを大葉に●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●対して同様に対してゆく也
●最初口傳的な部分まで書いてしまい、師匠筋からクレームがきたので核心的な部分は●●で暈すこととしました。(お詫び)
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